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エバンス、そしてコーチの仕事

 ジャネット・エバンスは、水中を見ると、前のほうで肘を立てて、しっかり水をとらえて、すばやく押し切っているし、脚は沈んでない。キックは水面下でしっかりと打てている。水中の映像を見ると、こりゃ速いだろーなーとわかる。
 現役時代は、細い女の子だった。笑顔がとても可愛くて、アメリカでは大人気。40歳のお母さんになった今でも人気がある。
 選手としては背も高くないし、腕も細かった。それなのに、しっかりと水をとらえて、あれだけ速く掻けるのは、やはり体を使って腕を回しているからでしょ。頭の動きがすごく大きいけど、あの動きもストロークに組み込まれている。上体全部を使って、ストロークしているから、頭や肩が大きく水上に出るけど、スピードが出ているし、水に乗っていて勢いがあるから、あれだけ頭が上がっても脚はあまり沈まない。

 私が誰にも教わらず、何も知らずに、プールで泳げるようになったときには、あんなふうなクロールになった(ま、全然違いますけどね。見た目はちょっと似ている)。体で腕を回し、ヘッドアップの前方確認みたいに、いったん前を向いてから横を向いて呼吸をしていた。もちろん、水をとらえることはうまくできていなかったし、下半身が沈んでいたから、50歳区分で短水路1500mを50mのラップが1分10秒くらい(長水路では1分15秒くらい)で泳いでいましたが。
 当時の私のクロールは、クラブのコーチにも仲間にもケチョンケチョンにダメだしされた。頭が上がりすぎだ、呼吸時に左手が下がってしまう、入水が中に入って蛇行している(体ごと腕を振り回すので、どうしても中に入る)etc

 大コーチだけ、「僕はその泳ぎ、嫌いじゃない」とおっしゃった。お世辞じゃなく、慰めでもなく、本心でよ。

 あのとき、私は、みんなに指摘される“悪い所”を一つずつ直して、フォームを整えれば、速くなると信じていた。
 1500mはその後泳いでいないので、どうかわからないけど、50mのタイムはたしかに10秒くらい縮みました。

 でも、今にして思えば、呼吸時に頭が上がっても、頭が大きく動いても、リカバリーが左右対称でなくても、キックがイレギュラーでも……ぜーんぜん、問題なかったかもしれない。

今の私が、9年前にタイムトリップできるなら、私はおじさんたちやクラブのコーチに言われることなんか、まったく気にせず、大コーチにこう相談する。

「右呼吸時に体が立って、その反動で、頭を突っ込んでしまう片手バタフライみたいな泳ぎですが、体が立つ角度をもうちょい抑えたら、前に突っ込む勢いを今以上に左の掻きに生かせると思うんです。右の掻きで、水を下に押さずに、後ろにすごい勢いで掻いて振り抜くようにすれば、体が立つのではなくて、エバンスみたいに体が前に飛び出す感じになって、スピードが出ると思いますが、どうでしょう?」


 なんてこったい。フォームを整えることに費やした不毛な労力と時間。私の青春を返してほしい。
 って、誰にも文句は言えませんが。自分が気づかなかっただけだから。

 大コーチは「この人がもっとラクに、もっと速く泳ぐにはどうすればいいか」という視点で、私の泳ぎを見て、アドバイスされていたんだ。
 大コーチがなんで、ほかの人たちが指摘する問題点を直そうとしないのか、フシギだったけど、考えていることも、目のつけ所も、ほかの人たちとは全然違ったんだわ。ウの目タカの目で“できていない所”を探す、アラ探しの教え魔おじさんたちやクラブのコーチたちとはね。

 私は、フォームを整えて、きれいに上手に、その結果として速く泳げるようになりたいとばかり思っていて、
 大コーチは、私の現状を見て、私にできることで、もっとラクに、もっと速く泳げる方法を一生懸命考えていた。

 どうも、ときどき話が通じないと思っていたけど、そこが噛み合っていなかったんだわ。
 大コーチは、私がフロントクワドラントのクロールを習得したいと言えば、それに必要なことを考えて、指導された。あの時期は「かずんこさんは、タイムよりも、きれいに泳ぎたいんだな」と考えて、それに合った助言をされていたんだわ。なのに「もっと速く泳ぎたい」とも言うので、「かずんこさんは、何がしたいんだろう?」と当惑しておられたことでしょう。ゆったりきれいに泳ぎたいと言うかと思えば、速く泳ぎたいとも言うし。

 たいがいの人が、ゆったりきれいに、さらに、できれば速く泳ぎたい、と思っている。
 フォームを直したら、速く泳げるようになると思っている。

 でも、あっちこっち気をつけて直して、フォームを整えたきれいな泳ぎは、必ずしも速い泳ぎではない。不自然だからね。
 “悪い所”を直すのではなく、より効率的に推進力を生めるように工夫する——そうやって、その人仕様のよい泳ぎになっていくのではないでしょうか。

 よく大コーチは、「もしかしたら棒掻きのほうが速いかもしれない」とおっしゃる。棒掻きでも、うまく水が掻けているなら、あまり気にすることない。肘を曲げたほうが、回転が速くなるかもだけど、そこらへんは、よく分かんないよね。水が相手だし、いろんな要因が絡むから、必ずしも棒掻きが悪いとは言えない。中村敬次郎さんは棒掻きよ。

 日本版ジャネットさんは、平泳ぎも速い。脇を締めずに戻すようなプルなんだけど、小柄な彼女が、長身の男性に追いついちゃっていました。脇が締まらなくても、いいじゃんって思った。

 “悪い所”が本当に、大きなネックになっているならともかく、どうせ完璧な泳ぎなんかできっこないんだから、どうでもいいアラは、気にしないほうがいい。そこを直そうとしたために、いい所がダメになったりする。

 ジャネット・エバンスのレースの泳ぎを見て、「わぁー、汚い泳ぎだこと、私はあんなのはイヤだわ」と思う人は、竹内さんみたいに、見た目がきれいな泳ぎをめざして、練習をすればいいと思う。価値観の問題だから。

 大コーチは、フロントクワドラントのお手本泳ぎもできるし、自分仕様のレースの泳ぎもできるし、私やほかの生徒さんの泳ぎのまねもできる。こういうのを、ホントにうまい人というんでしょうね。
 エバンスも、ダウンのときは、きれいに(呼吸時に頭が上がらず)泳ぐでしょ。使い分けている。
 日本版ジャネットさんは、高速回転の泳ぎのみで、アップもダウンも、レースも、同じ泳ぎ方。その点では、それほど器用じゃない。でも、小さな力で推進力をつくれる点では、彼女の泳ぎにけちをつけるおばさんたちよりも、はるかにうまい。彼女の得意種目は長距離だけど、25Mも上から、大コーチウォッチ(足が台から離れる瞬間に押すので、リアクションタイムが入っていない)で、15秒台。25Mダッシュでも、毎回呼吸を入れる。ちょっとビックリです。


 私は、ラクなぐだぐだ泳ぎと、レース泳ぎの二つの使い分けでいいや。見た目きれいな泳ぎってヤツは、自分のレパートリーからはずす。ま、ドリルとして練習してもいいかも。左右両側呼吸にして、左右対称に、肘を高く保って、脇をきれいに伸ばして泳ぐドリル。アップやダウンのときに入れてもいいかもね。


 レース泳ぎは、エバンスみたいに型破りな泳ぎがいいなぁー。
 自己最速を追求していったら、必然的に型破りな泳ぎになると思う。


 掻き数が少ないほうがいいとか、水しぶきを上げてはいけないなんて、誰が言ったんだ?
 ホントに、そこが重要かい?

 脇が締まっていない、脇が締まっていないと、いろんな人に連発するコーチもいた。そのコーチは、「脇が締まっていないと、推進力をつくれない」と思い込んでいるようだった。

 大コーチは、ある人には、「脇を締めてみたら」と言い、別の人には、「脇が開きっぱなしでもいい」と言う。
 レベルに合わせて言っているんじゃないのよ。その人の泳ぎを見て、言っている。




 
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